太田祐一郎 11/21

株高に潜む危うさ、新興国から「逆回転」も

[東京 19日 ロイター] ヘッジファンドなど投資家の世界的なポジション巻き戻しのなか、日経平均は1万円を回復したが、先行きには慎重な見方が少なくない。

 米景気回復期待が強まり、米金利が上昇したことでマネーが逆流、ドル安・円高基調が一服し日本株は出遅れ修正に動いたが、米小売大手が堅調とみている米年末商戦が成功裏に終わるかは不透明だ。米景気が減速すれば米緩和観測が強まりドル安・円高方向に働く。

 また米量的緩和による過剰流動性新興国がインフレを制御できなくなったような場合、リスクマネーの巻き戻しは調整の範囲では終わらない可能性もある。

 <危うい米消費、年末商戦期待し在庫積み増し>

 圧迫要因だった円高警戒感が後退したことは日本株にとって大きいが、ドル円はいまだ83円台。80円付近に引き下げられた国内輸出企業の下期想定為替レートよりも円安水準とはいえ「円安メリットをうんぬんするようなレベルではない」(シティグループ証券エコノミストの村嶋帰一氏)。

 日本の株高の本質的な要因は、円安効果というよりも米景気回復期待の強まりによる、海外勢の円買い・日本株売り・債券買いのポジションの巻き戻しだ。マネーの巻き戻しによる株高であっても、このまま景気が順調に回復していけば、理想的な業績相場に移行することができるが、一見堅調にみえる米消費は危うさを秘めていると指摘する声も多い。

 米消費が予想以上に堅調なのは、米小売店がディスカウントを例年よりも早く始めていることが一要因だとみられている。需要の先食いを行っているわけで、実際の年末商戦が不振に終わるおそれが強まっているといえよう。またISM指数など製造業関連の統計数字が堅調なのは、「年末商戦が堅調とみて米企業が在庫を積み増しているからだ」(クレディ・スイス証券・株式調査部ストラテジストの丸山俊氏)との指摘もある。思うように商品が売れなかった場合、在庫調整が待っていることになる。


物が溢れて物の価値がなくなり物が売れない時代ってある意味、人類の歴史上では成功してるわけだけどな。