物価下落圧力、長期間残るとの見方を共有=1月日銀会合議事要旨

[東京 23日 ロイター] 1月25・26日開催の日銀の金融政策決定会合では、物価の下落圧力は経済の回復ペースが緩慢なものにとどまるもとで、長期にわたって残るとの見方を共有していたことが明らかになった。

 消費者の予想物価上昇率や、企業の価格設定行動について、丹念に点検していく必要があるとの指摘がなされた。またこの時期、国際的に各国の財政赤字問題への関心が高まってきたことを踏まえてソブリンリスクの議論も行われ、適切な政策運営のためには財政金融政策への信認確保が一段と重要になっているとの意見も交わされた。23日公表の議事要旨で明らかになった。

 今回の会合では、デフレに関する認識が前回の12月会合よりやや深刻化していることが浮き彫りとなった。先行きの物価下落について、12月会合では多くの委員が「景気回復ペースが緩慢なものに止まるなか、下落幅の縮小ペースがかなり緩慢な状態が続く」との見通しを示していたが、今回は「物価の下落圧力は長期に亘って残る」との見方を共有するに至った。

 さらに、物価の先行きに影響を及ぼす要因についても突っ込んだ議論が行われ、何人かの委員は消費者の短期的な予想物価上昇率が低下している点を指摘。もっとも中長期的な予想物価上昇率は、さほど低下していないとの意見も出されたほか、また企業の価格設定行動に関して極端な価格競争を避け、価格以外の部分で差別化を図る動きも徐々にみられつつあるとの指摘もあった。そうした議論を踏まえて、「需給バランスとともに、こうした中長期的な予想物価上昇率や企業の価格設定行動についても、引き続き丹念に点検していく必要がある」との認識を共有した。

 日銀が1月の同会合で示した先行きの消費者物価の数値見通しについては、2010年度予算に盛り込まれている高校授業料実質無償化などの措置は、物価指数への具体的な反映方法が公表されていないことから織り込まないことが適当との意見で一致したが、指数に反映されることになれば見通し計数が大きく下方修正されるだけに、しっかり説明が必要との意見も出された。

 国際金融市場における財政赤字や財政規律の問題に対する関心の高まりについても議論され、何人かの委員は、「今後とも市場の安定を確保しつつ、適切な政策運営を行うためには、財政状況の厳しいわが国を含め、いずれの国でも、財政運営や金融政策運営に対する市場の信認を確保することが一段と重要になっている」と指摘した。国際金融面での様々な動きやその影響について、今後も、十分注視していく必要があるとの認識を共有。

 リスク要因の議論でも、「ソブリンリスクに対する意識の高まりや国際的な金融監督・規制の動向など、国際金融面での様々な動きが経済に及ぼす影響についても注意する必要がある」との見方で一致した。